Arita dining

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脈(読み)みゃく
筋をなして連なり続くもの。
連なり続くさま。

例えば400年前の話を聞くとする。
遠い昔のことで、自分の先祖がその時代にどう生きたなんて想像する人は少ない。ただただ、昔のことだなぁと思うのが一般的だと思う。

間違いなくそこには、自分と血が繋がっている人が居たのだけれど。

私達料理人は、先人たちの知恵を土台として料理を作る。
その料理の知恵は、先人たちの挑戦の結果(もしくは偶然の産物)だ。

伝統と革新は、一見分かれている様に見えるが、大きな視野で見ればそれはとても些細な事だ。

そして、今を生きる私達の挑戦の結果が、未来の誰かの料理の礎となる。

以前、佐賀県武雄市にて大きなイベントをさせていただいた。最終日の撤収時間を出来るだけ早めて欲しいとのことで、私達はとても急いだ。

理由は、「深海宗伝没後400年の記念碑の除幕式のため」と伝えられた。

疲れた体に鞭を打ち、通常よりも急いで撤収作業をした頭の中は「深海宗伝、、」と反芻していた。

コロナの中で流行ったコンテンツの一つに、紹介制音声SNS(クラブハウス)という物があった。比較的早い段階で友人に勧められて参加した。そこで繋がった人の中に、深海さんが居た。
深海宗伝の子孫なんです、という事実を知ってとても驚いた。

前述の話をしたら、大変恐縮され「うちの先祖がすみません」という時代を超えた言葉に親近感を覚えた。

毎年開催していた、大阪にあるフレンチの名店「エヴォリュエ」さんとのコラボイベントを数年ぶりに開催する話が出た。

せっかくなら、九州内でその地域の文化と共に開催したい。
東京から、実家がある有田にUターンして地域に貢献したいと言っていた深海さんに連絡をし、一緒にやりませんか?と声を掛けさせていただいた。

一度の話し合いで、おおよその概要が決定した。
深海さんの会社「深海商店」の工場内に1日だけのレストランを作り、窯元さんの器を使用した食事のイベント。
深海さんにご尽力いただき、とても素晴らしい窯元さん達と繋がることができて、またその甲斐があり大きく告知をすることなく予定していた30席はすぐに満席となった。
集客に翻弄するのが有料のイベントの悩みなのだけれど、有田焼というコンテンツの力を改めて感じた。

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